生活

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読書感想文①「AV女優」の社会学

 

「なぜAV女優になったか」

を問うとAV女優たちはそれを饒舌に語るらしい。

そのことが何を意味するのか ということをテーマにした本。

 

学者の世界では、「セックス・ワーク」論が活性化していたそうな。それは、「性産業者が、犯罪者扱いされずに、安全に働きたいと権利主張できるようにするため」の議論である。ただ、自身もAV女優を経験していた筆者は、それらを具体的事例のない主張で、空洞的な議論だと思うようになる。実際の日本の性産業の状況と、学問の世界で仮定される状況がずれているのではないかと。

 

AV女優への道のりは隔絶された世界にあるのではなく、地続きのような平坦な道のりの先にある。その道筋を、現場に行って参加し、話を見たり聞いたりする「参与観察」で明らかにしようというのがこの本の試みだという。

 

人が「AV女優の動機」を尋ねたいと思う欲求の裏にあるのは、「性の商品化」は通常であれば避けたいと思うはず、という感覚で、余程切実な理由がなければ選択されない職業であるということを再確認したい、という欲求だと筆者は想像する。彼女たちと自分たちの居場所を断絶することで、「私たちと違う」と、安心すると。

 

これはちょっと普遍的だ、と思う。自分たちから断絶したい存在に対しては、特殊な理由を求めて納得しようとする。ナチスの大量虐殺に加担したアイヒマンを、言われたことに従う官僚人間で、「凡庸な悪」だと表現すると、非難の嵐が起きる。アイヒマンは、自分たちと違う怪物でいてほしいし、AV女優は、不遇の人生を送ってきたか、性欲お化けでいてほしいのだ。でも、世の中はもっと白黒つかないグレーで、地続きなんだと思う。

 

本論は、「AV女優になった動機」を語ることが、どのように獲得されて、AV女優自身にどう影響していくか、というところにある。読んでなるほど。

 

軽い気持ちで手にとったころ、思ったよりもかっちりしていた。

あと筆者のAVが普通に出てきて、見るか見まいか迷っていた。